第2回日本中東学会奨励賞の選考結果について

日本中東学会会長 長沢栄治

第2回日本中東学会奨励賞に関して、受賞論文、選考過程、受賞理由を報告致します。
日本中東学会奨励賞選考委員会(小杉泰第10期会長、三浦徹第11期会長、青山弘之『日本中東学会年報』編集長代行)は、去る7月28日、以下の論文を第2回日本中東学会奨励賞の受賞作とすることを決定いたしました。

IWASAKI Erina(岩崎えり奈), "What is the Aila?: A Comparative Study of Kinship Structure in Egyptian Villages"(Special Issue I: Study of Regional Diversity in Egypt from Mutli-Perspectives Views), AJAMES, No. 22-2, March 2007, pp. 105-123.

本奨励賞の選考は、2007年および2008年に公刊された『日本中東学会年報』第22-2号(2007年3月)、第23-1号(2007年7月)、第23-2号(2008年1月)、第24-1号(2008年9月)に所収された40歳以下の学会員による外国語論文を主な対象といたしました。
選考は以下2段階を経て行われました。

  1. 第12期評議員62名による候補作の推薦:推薦期間は当初2009年2月20日から3月6日までとしましたが、同期間中に候補作を推薦した評議員が2名に過ぎなかったため、6月末日まで推薦期間を延長、最終的に11名の評議員が6本の候補作が推薦。
  2. 選考委員会による最終選考:第12期評議員が推薦した候補作を慎重に審査し、上記論文を受賞作とすることを決定。

受賞作となった岩崎会員の論文は、エジプトの統計局との連携による同国村落の社会調査を行った現地主義的なスタンスという点と、地理情報システムGISを駆使して調査結果を集計・分析を行った斬新な手法という点おいてきわめて秀でており、日本だけでなく世界の中東研究に新たな視座を持ち込むものと高く評価でき、本奨励賞受賞に値する優れた論文であると判断されました。
なお、今回の奨励賞の選考では、推薦期間の延長に伴う最終選考の延期、特集所収論文を単独で(特集を構成する他の原稿や総論部分と切り離して)評価することの是非、AJAMESにおける欧文率向上の一環としての意味を有する特集(所収論文)を、同じく欧文率向上を主要な目的の一つとする本奨励賞をもって評価することの是非、などが問題点として指摘されました。しかし、これらの点は、『日本中東学会年報』を通じた外国語による成果普及を通じて克服し得ると考えておりますので、会員のみなさまには引き続き、本賞へのさらなるご支援を賜るよう、お願い申し上げます。

日本中東学会奨励賞選考委員会

なお、第2回日本中東学会奨励賞の授与式は、2010年度年次大会(於:中央大学)において、執り行われる予定です。

日本中東学会事務局
e-mail. james@db3.so-net.ne.jp
tel/fax. 03-5286-1966